トーン・スケールは人の特性や振舞いを予測するのに非常に便利なツールです。 しかし、これをうまく行うには、一目見ただけでスケール上でその人の位置がどこにいるのかを認識できなければなりません。
トーン・スケールは、ある
「オブノーシス(obnosis)」という言葉があります。これは、「明らかなものを観察する(observing the obvious)」という句を短縮した言葉です。 明らかなものを観察するという技術は、現代の私たちの社会では極力無視されているものです。 残念なことです。 どのようなものでも、見るためには、明らかなものを観察するしかありません。 何かのありのままの姿、つまり実際にそこに存在しているものを見るのです。 私たちにとって幸運なのは、明らかなものを観察する能力は、決して「天性のもの」でも神秘的なものでもないということです。 しかし、
そこにあるものを見る方法を誰かに教えるにはどうしたらいいのでしょう? まずあなたは、相手の人が見るものを用意します。そして、彼が何を見ているのかを言わせます。 人はこれを自分自身で、またはクラスのようにグループになって実習することができます。単にある人か物体を選んで、実際にそこに存在しているものを見ます。 例えば、生徒に教室の前に立ってもらい、他の生徒たちから見えるようにします。 インストラクターはその生徒のそばに立ち、他の生徒たちに以下のことを聞きます。
「何が見えますか?」最初の答えは、大体次のようなものでしょう。
「そうですね、彼はかなり多くの経験を積んでいるように見えます。」
「ほう、そうですか? 本当に彼の経験が見えるんですか? そこに何が見えますか?」
「んーと、彼の口元と目元にあるしわで、彼が多くの経験を積んできた人だとわかります。」
「わかりました。でも何が見えますか?」
「ああ、わかった。 彼の目と口の周りにしわが見えます。」
「いいですね!」
インストラクターは、明らかに目に見えるもの以外は決して受け付けません。
生徒は徐々に要領を飲み込んでいきます。そしてこう言います。「えーと、彼に両耳があるのがはっきりと見えます。」
「わかりました。でも、あなたのいる場所から彼を見て、彼の両耳が今見えますか?」
「ええと、見えません。」
「結構です。 何が見えますか?」
「彼に左耳があるのが見えます。」
「結構!」
当て推量も、はなから当然と決めてかかることも許されません。 例えば、「彼は姿勢がいいですね。」
「何と比べて姿勢がいいのですか?」
「ええと、彼は、私がこれまで見てきたほとんどの人たちと比べて、いい姿勢で立っています。」
「その人たちはここにいますか?」
「ええと、いません。でも、私には彼らの姿が目に浮かぶのです。」
「さあ、何と比べていい姿勢なのですか。 たった今あなたに見えている人は。」
「そうですねぇ、彼はあなたよりはいい姿勢で立っています。 あなたは少し猫背ですから。」
「今、この瞬間ですか。」
「ええ。」
「いいですね!」
この実習の目標は、生徒が他の人や物を見て、そこにあるものを正確に見ることができるようにすることです。 実際にそこで見えているものから、そこにあるかもしれないものを推論するということではありません。 ただ、実際そこにあるものです。目にはっきりと見えているものです。 これはあまりに単純であるため、大変なのです。
人がその目で何をするかは、その人の慢性的トーンを知るのに良いヒントとなります。 無気力のレベルでは、その人は何分間にもわたって、あるひとつの特定の対象を凝視しているように見えます。 ただ、彼はそれを見ているわけではありません。 その対象の存在には全く気付いていないのです。 彼の頭に袋をかぶせても、恐らく彼の目の焦点は同じままだと思います。
これが悲嘆のトーンにまで上がると、その人は「意気消沈」しているように見えます。 慢性的な悲嘆のトーンにある人は、かなり長い間、視線を床に向けている傾向にあります。 低めの悲嘆のトーンにいる人は、無気力のトーンにいる人と同じように、その注意をかなり固定させます。 その人が恐れの帯域まで上がり始めると、視線はあちこちにさまよいますが、相変わらず下に向けられていることに変わりはありません。
ちょうど恐れのトーンに達した人の顕著な特徴は、その人はあなたを見ることができないということです。 危険すぎて、人を見ることができないのです。 恐らく彼は、あなたに話し掛けはするでしょうが、視線はあらぬ方向に向けられています。 それからあなたの足元にちらりと目をやって、次に頭上に目を向けます(あなたは、上空を飛行機が飛んでいるのかと思うでしょう。)さらに、彼は自分の肩越しを振り返ってみます。 パッ、パッ、パッ、パッ。 要するに、その人はどこでも目を向けることはできるのです。
あなたを除いては。そして怒りの低い帯域になると、その人は故意にあなたから目をそらします。 そう、あなたから目をそらしてしまうのです。これは、明らかにコミュニケーション・ブレークです。 このラインをさらにちょっと上がっていくと、若干の居心地悪さは残るものの、彼はあなたを直接見ることができるようになるでしょう。 あなたをターゲットとして捕らえたいのです。
そして退屈のトーンになると、視線は再びふらふらとさまよいますが、恐れのトーンにいた時のように狂乱じみたものではありません。 それに、あなたを見ることを避けようとはしないでしょう。 彼が見ているものの中にはあなたも含まれます。
誰かにこのようなデータを与えてから、人々をオブノーシスで見ることに熟達させれば、その人は外に出て行って見知らぬ人たちと話をし、その人たちのトーン・スケール上での位置を突き止められるようになります。 通常は、人々に接近する際の助けとするために、この練習を行う人はそれぞれの人に尋ねる一連の質問事項と、それにその返答やメモなどを書きとめておくためのクリップ・ボードを前もって用意しておくべきです。 しかし人に話し掛ける本当の目的は、相手のトーン・スケール上での位置を突き止め、その人の慢性的トーンと社交的トーンを見抜くことです。
相手をまごつかせ、社交上の訓練や教育を打ち破るように意図された質問が用意されています。これらの質問をすることによって、その人の慢性的トーンが出てきます。
実際に用いられている質問をいくつか挙げておきましょう。「私を見て、最初に目につくものは何ですか?」 「あなたが最後に髪を切ったのはいつですか?」「今の人は50年前の人と同じくらい働いていると思いますか?」
この練習を行う人たちは、最初のうち、インタビューしている人のトーンをただ言い当てるだけですが、これを行いながら彼らはたくさんのことを体験します! さらにこれを進めていき、見知らぬ人に声を掛けて、質問を浴びせることにいくらか自信がついてくると、次のような指示が付け加えられます。 「最低15人の人と会い、最初の5人に関しては、トーンを突き止めた後ですぐさまそのトーンに合わせてください。次の5人は、彼らの慢性的トーンより下に落としてみて、どのようなことが起こるかを観察してください。残りの5人には、彼らのトーンよりも高いトーンを装ってください。」
これらの練習から、人はどのようなことを得るのでしょうか? ひとつ挙げるとすれば、どんな人とのコミュニケーションも厭わない気持ちです。 最初は、声を掛ける相手を非常に注意深く選択しようとします。 怒り出しそうな人は決して選ばずに、老婦人だけ、または清潔そうな人に限るといった具合です。 そして遂には、たとえ
また意のままに自分のトーンを自由に装う才能を身に付け、それが実際のトーンであると信じ込ませることもできます。これは多くの状況下で非常に役立ちますし、これをやるのはとても面白いものです。
一目で人のトーン・レベルが認識できるようになれば、他の人との関わりにおいて非常に大きな利益をもたらす能力となります。それは、時間や労力をかけて得る価値のあるものです。
ある状態が短期間起こること。「慢性」の逆。
サイエントロジーは、知識の研究に取り組む実践的な宗教である。その技術の適用を通じて、サイエントロジーは人生の状態に望ましい変化をもたらすことができる。 その知識と技術の体系は、30年以上の歳月を費やしてL. ロン ハバードによってまとめられた。 サイエントロジー(Scientology)という用語は、ラテン語「scio(知るという言葉の持つ最も完全な意味において知ること)」とギリシャ語の「logos(~の研究)」に由来する。 また、サイエントロジーは魂をそれ自身、宇宙、他の生命との関わりにおいて研究し、取り扱うものと定義される。
感染症の一種で、主に皮膚と神経が侵され、体組織や器官の変形を招くこともある。