人のトーン・スケール上での位置を示す最も正確な指標となるのは、恐らく会話でしょう。
人は自由に話すことができ、相手の言うことを受け止めながら聞くのでなければ、トーン・スケール上でさほど高いところにいるとは言えません。
「ハバード人間評価のチャート」の「会話:話す/会話:聞く」の欄は、ふたつの部分に分かれています。ひとつは話すこと、もうひとつは聞くことに関する欄です。 コミュニケーションとは出ていくものであると同時に入ってくるものでもあるということに気付かない人もいるかもしれません。 人の聞き方、話し方の両方を観察すれば、その人のトーン・スケール上での位置が正確にわかります。
興味深いことなのですが、この欄を使って、誰かに「2分間精神測定」と呼ばれているものを行うことができます。 ここで「精神測定」というのは、心の特徴、能力、働き方を測る、ということです。 そのコツは単に、その人に向かって、一番高いトーン・レベルで創造的かつ建設的に話し、それから次第に会話のトーンを下げ、相手から反応が得られるところまで下げていくというものです。
人は、自分自身のトーンの帯域に最もよく反応します。そして会話によって、トーン・スケール上での位置を約0.5だけ引き上げることができます。 このタイプの「精神測定」を行う際には、特定の帯域で、あまり長く会話を行ってはなりません。せいぜいひとつかふたつの文に押さえるべきです。なぜなら、長く会話を交わすとその人のトーンがわずかに上がる傾向があるため、テストの正確さが損なわれるからです。したがって2分間精神測定では、まず何か創造的かつ建設的なことを言い、その人が同じように反応するかどうかを見ます。それから、スポーツのことなどくだけた会話を少しして、その人がそれに反応するかどうかを見ます。 反応がなければ、その人が知っていること(もちろんプリ・クリアー自身についてではないこと)について敵対的に話し始め、彼がこのレベルの会話に反応するかどうかを見ます。 次に、ある状況に対して、ひとつかふたつ怒りに満ちたことを言ってみてもいいでしょう。 それから、人の信用を傷付けるような噂(うわさ)話を少しして、それに対する反応を見ます。 それでも反応がなければ、何か絶望的でみじめなことを思い付く限り口にします。 これらのうちのどこかで、その人は差し出された種類の会話に同意するでしょう。つまり、同じ調子で反応するのです。 それから、その人がいるとわかった帯域に沿って会話を進めることができます。そうすれば、チャート上でのその人の位置を正確に見極めるのに十分な情報が、即座に手に入るでしょう。
このような、会話による2分間精神測定法は、グループに対しても適用することができます。 聴衆を意のままにしたいと望む演説者は、聴衆のトーンから0.5以上離れたトーンで話すべきではありません。 彼が聴衆のトーンを上げたいのであれば、聴衆の全体的なトーン・レベルよりも0.5高いレベルで話すべきです。 熟練した演説者は、この2分間精神測定を使って、聴衆の反応に注意してしゃべりながら、2分間で聴衆のトーンを見付けることができます。聴衆のトーンを見付けたら、後はそれよりほんの少し高いトーンを取り入れればいいだけです。
トーン・スケールと「人間評価のチャート」は、人間の行動を予測するために発見された最も重要なツールです。 これらのツールを用いれば、いつでも自分と関わっている人がどのような人か、そして誰と関係すべきか、そして誰を信頼すべきなのかを知ることができるでしょう。